下成佐登子 1stアルバム「秋の一日」~70・80年代の邦楽名盤~

前回は、下成佐登子さんの全シングルのレビューをしましたが、今回は、ファーストアルバム「秋の一日」のレビューをしたいと思います。

このアルバムは、全曲に渡ってメロディーやアレンジにフック(耳に残るフレーズ)があり、選曲や曲順も良く考えられた非常に出来の良いアルバムです。

下成佐登子さんの良さを知るには、全シングルを聴くよりも、こちらを先に聴いたほうが良いかもしれません。

このファーストアルバム「秋の一日」は、寺尾聡さんの「Reflections」、久保田早紀さんの「夢がたり」のような捨て曲の一切ない、一家に一枚の名盤だと思います。

下成佐登子さんの特徴やシングル曲については、こちらのレビューを参考にしてください。

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デビューから3年で進化を遂げた珠玉のアルバム

下成佐登子さんは、1978年に「秋の一日」でデビューしましたが、このファーストアルバムは、1981年にリリースされました。

デビュー当時は、艶やかな声で真面目にしっかりと歌っている感じでしたが、このアルバムでは硬さが取れ、声の艶は増し、表現力もより豊かになり、活き活きと歌っています。

八神純子さんの全域芯の通った歌声と、石川優子さんの高音域の繊細さを合わせたような下成佐登子さんの歌声は、聴く者を魅了してやみません。

収録曲

  1. 霧雨の夜
  2. 漂う雲に
  3. 秋の一日(アルバム・バージョン)
  4. 思わせぶり
  5. もう一度
  6. ため息アベニュー
  7. 10月のストリーム
  8. プレリュード(前奏曲)
  9. 予感
  10. ひとり

1,2,6曲目の作詞は来生えつこ、7曲目の作詞は速水アキラ、2,4曲目の作曲は大村雅朗、7曲目は中島かおるとなっています。

それ以外の作詞作曲は下成佐登子さんです。

CDジャケットの扉を開くと、2015年 秋に書かれた下成佐登子さんのコメントが載っています。

CDの音質

再生環境は、SONYのDAP NW-ZX2にポータブルアンプ PHA-2をデジタル接続し、SONYのモニターヘッドホン MDR-Z1000を使用しました。

ファイル形式はFlacです。

このアルバムは、初CD化されたもので、2015年に発売され、リマスター処理がなされています。

前回レビューさせていただいた「下成佐登子 シングルズ & ワークス」よりも、音が鮮明で解像度がアップしています。

低音のみならず、全体的に音が力強くなっています。

上下左右共に空間は広めで、奥行きもあります。

空間は広めですが、鳴っている音はやや近めで、その音から放たれる余韻が、広い空間に拡散していくというイメージです。

1981年に発売されたアルバムとは思えないぐらい、リマスターの効果が出ている印象です。

アルバム収録曲レビュー

1曲目 霧雨の夜

幾重にも重なったストリングスがやさしいメロディーを奏で、曲がスタートします。

歌メロも心休まるようなゆったりとしたメロディーで、サビに向かって徐々に盛り上がって行き、サビではドッシリとしたドラムが入り、曲を盛り上げていく、アルバムのオープニングを飾るのにふさわしい曲です。

2曲目 漂う雲に

爽やかでノリの良い曲です。

この曲を聴いていると、「ふたりの愛ランド」のようなノリの良い曲を歌っている石川優子さんを連想してしまいます。

メロディー、アレンジ共に秀逸で、シングルカットしてもおかしくない曲だと思います。

3曲目 秋の一日

「秋の一日」は、下成佐登子さんのデビューシングルですが、このアルバムに収録されているバージョンは、シングルバージョンと違って、アコースティックギターとコーラスのみのアレンジになっています。

歌い直しもされており、シングルよりも余裕を持って歌われるアルバム・バージョンは、極上の哀愁バラードになっています。

4曲目 思わせぶり

マイナー調(悲しげな感じ)のミドルテンポの曲ですが、軽快さを感じさせるリズムや、所々で入るサックス、サビの男性コーラスなどにより、おしゃれな雰囲気を感じます。

力を抜いて、時々、声を枯らせる下成佐登子さんの歌い方がとてもセクシーです。

5曲目 もう一度

このアルバムには収録されていませんが、セカンドシングル「雨」に似たマイナー調のバラードです。

ピアノのアルペジオの弾き語りから始まり、サビではストリングスが入り、壮大なイメージを演出しています。

「思い出は美しすぎて」や「甘い生活」辺りを歌う八神純子さんのイメージが湧いてきます。

6曲目 ためいきアベニュー

5枚目のシングル曲で、4曲目の「思わせぶり」のような雰囲気を持つけだるくカッコいいマイナー調の曲です。

寺尾聡さんのようなシティポップという感じのおしゃれなでカッコいい雰囲気が漂っています。

7曲目 10月のストリーム

爽やかでノリの良い曲ですが、メロディーのアタックを強調するような歌い方でなく、しっとりとなめらかに歌っているので、大人のさわやかソングのような感じがします。

8曲目 プレリュード(前奏曲)

心休まるメジャー調(明るい感じ)のバラードです。

下成佐登子さんの曲には、この手の曲がたくさんありますが、その中でも、この「プレリュード」は、前回レビューさせていただいた「下成佐登子 シングルズ & ワークス」の収録曲も合わせて、一番印象に残りました。

歌いだしからサビに至るまで、メロディーが印象的で、アレンジもピアノ、アコースティックギター、コーラスのみなので、そのメロディーがグッと引き立っています。

9曲目 予感

軽快なポップスですが、2曲目の「漂う雲に」とはまた違った、やさしい感じのする曲です。

メロディーの良さもさることながら、耳に残る楽器のフレーズといったアレンジも秀逸で、これもシングルカットしてもおかしくない仕上がりになっています。

10曲目 ひとり

5曲目の「もう一度」のような雰囲気を持つマイナー調のバラードで、下成佐登子さんのロングトーンが心に染み渡ります。

哀愁のバラード「秋の一日」でデビューした下成佐登子さんらしいアルバムの締めくくりだと思います。

まとめ

デビューしてから3年後に発売されたこのファーストアルバム「秋の一日」は、この間に鍛えられた下成佐登子さんの色々な表情を見せる歌い方によって、メロディーやアレンジと共に、それぞれの曲がシングルカットできるような完成度の高いアルバムです。

全曲の作詞作曲を下成佐登子さん自身がすることに執着せず、他の作詞作曲家を起用したことも功を奏した気がします。

「秋の一日」は、ファーストアルバムでありながら、下成佐登子ワールドが完成してしまったような印象を持ちました。

八神純子さんの「思い出のスクリーン」や、久保田早紀さんのアルバム「夢がたり」のような雰囲気が好きな方は、買いの1枚です。

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