Nuforce HEM1 レビューPart2~音質について~

前回は、Nuforce HEM1の装着感とハード面についてのレビューをさせていただきましたが、今回は、音質面について書いてみたいと思います。

私は、Nuforce HEM1の価格と形状の似たSHURE SE215speというダイナミック型のイヤホンを所有していますが、シングルBAであるNuforce HEM1の音は、SE215speとはかなり違います。

また、同じBAでも、マルチBAの音とは少し違います。

★Nuforce HEM1の装着感とハード面についてのレビューはこちら

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ソースの状態を正確に描き出すHEM1

HEM1の音質レビューを書くに当たって、太田裕美、八神純子、岩崎宏美等の70年代の曲、河合奈保子、松田聖子、斉藤由貴、飯島真理、THE ALFEE等の80年代の曲、AKB48、乃木坂46、欅坂46、東京女子流、フェアリーズ等の平成アイドルの曲、その他、ハードロック、テクノ等、ポップとロックを中心に様々な曲を聴いてみました。

何故、時間をかけてこれほどたくさんの曲を聴いたのかというと、箱出しから数曲聴いた時、HEM1の音の印象が曲毎に大分異なったからです。

音を鳴らし始めてから10時間を超え、イヤホンの挿入深度、イヤーピースの選定等、色々試してみて、Nuforce HEM1の音の傾向がやっと掴めてきました。

試聴環境とイヤホン挿入深度

SONYのデジタルオーディオプレイヤー(以下、DAP)NW-ZX2にHEM1を直差しし、試聴曲は上記に挙げた様々な曲を使用しました。

DAPの音響効果は全てオフ、試聴曲は全てFLACにフォーマットしています。

HEM1のイヤーピースはLサイズを使用しました。

HEM1は、その形状からSHURE SE215speよりも比較的深く耳に挿入することが出来ます。

耳たぶを下に引っ張ってイヤホンを押し込むと、かなり深いところまで入って行きます。

しかし、HEM1に関しては、この状態で音を聴くと低音の量感は増しますが、音場が狭くなり、音がモヤっとして音色に違和感が出て、シングルBAの良さを殺してしまう感じがします。

色々試した結果、個人的にHEM1のベストポジションは、普通にイヤホンを耳に挿し、少しグリグリやって、遮音感を得られた位置、つまり少し大きめのイヤーピースを使用し、耳の穴の入り口を塞ぐ程度の位置だと思います。

Nuforce HEM1の音の特徴

HEM1の音は、非常に質の良い、典型的でフラットな音量バランスのBAドライバーの音です。

高い解像度とリアルに再現される音

解像度(音の鮮明度)は高く、それぞれ鳴っている音がリアルに聴こえます。

イヤホンによっては、音色が明るい、又は暗すぎる、音がシャリシャリする、ザラつくといった具合に、普段自分が耳にしている声や楽器の音と比べて違和感があったりしますが、HEM1はとても自然な音を聴かせてくれます。

高い分解能

分解能(音を分離させ、鳴っている音を描きわける能力)は非常に高いです。

ダイナミック型であるSE215speは、音を面で出し、その面の中に様々な音と、その音が出す風圧(特に低音)が含まれています。

その風圧のようなものが、音の隙間を埋めるせいか、若干音がごちゃっとした感じに聴こえます。

BAであるHEM1は、面というより、それぞれの音の芯(線)で音を出している感じがあり、特に低音の出す風圧のようなものがほとんどないせいか、音と音の間にすっきりとした空間が生まれます。

このすっきりとした空間に、曲の中で鳴っている様々な音が分離して重ならないため、HEM1では、驚くほどはっきりと細かい音が聴こえてきます。

イヤホンの片側にBAドライバーを4基積んだSHURE SE846は、広めの音場に音像の大き目の音が所狭しと鳴っているため、音の分解能は、すっきりとした空間を持つシングルBAのHEM1の方が、聴感上、高く感じます。

音抜けの良さ

技術革新により、BAの再生周波数帯域も大分広くなってきましたが、基本的にBAの再生周波数帯域はダイナミック型と比べると狭く、聴感上、音が詰まって聴こえる(音の抜けが悪い)ものも多いです。

音が詰まって聴こえるというのは、例えば、シンバルが鳴った後の余韻や音の鳴り終わる(音の減衰)時間が短く、音が空間の奥の方まで鳴っている気がしないといった感じの事です。

しかし、HEM1は、高域側の再生周波数帯域が40KHzとハイレゾ対応になっていることもあり、高音部がスパッと切れる感じは全くなく、とても自然に音が減衰していきます。

高域部の抜けが良いおかげで、HEM1で音を聴いているとスカッとした印象を受けます。

低音について

HEM1の出す低音域は、非常に締まった芯を聴かせる音で、ボワついた感覚は一切ありません。

低音域の解像度も高く、ダイナミックは元より、機種によってはマルチBAよりもベースラインがはっきりと分かりやすいです。

ただ、SHURE SE215spe等のダイナミック型イヤホンに比べると低音の迫力は劣ります。

具体的にHEM1の低音はどんなものなのかというと、HEM1は、低音の中心をベースギター辺りに置いている感じがします。

その低音再生域にある低音は力強く聴こえます。

例えば、岡田有希子の「Love Fair」、YMOの「Ballet」、Winkの「淋しい熱帯魚」などは、ベース、ドラムのキック・スネアが重く聴こえました。

といっても、元々低音が弱めに録音されている場合は、それ以上力強く鳴ることはありません。

HEM1の音のデメリットになり得る部分について

HEM1は音の再現性が非常に高く、それ故、録音状態の良い曲とそうでない曲を聴いた時のギャップが大きいです。

この記事の最初の方に、箱出しから数曲聴いた時点で曲の印象が異なったと書きましたが、その原因は、イヤーピースの深度の違いと、このHEM1の音の再現性の高さによるものでした。

ちなみに、シングルBAであるHEM1ではエージングによる音の変化はほとんど感じませんでした。

さて、この音の高い再現性ですが、この部分が人によってはHEM1のデメリットとなり得るかもしれません。

ダイナミック型であるSHURE SE215speや、マルチBAのSHURE SE846では、録音状態の悪い音でも、そこそこの音で聴かせてくれますが、HEM1はシビアです。

例えば、倉木麻衣の「I can do it now」や東京女子流の「predawn」を聴いた後に、欅坂46の「二人セゾン」を聴いた場合や、ハードロックでは、Dream Theaterの「METROPOLIS-PART I “THE MIRACLE AND THE SLEEPER”」を聴いた後に、リマスターの施されていないOzzy Osbourneの「I don’t know」を聴いた場合は、あまりの音質の落差に「二人セゾン」や「I don’t know」は聴く気にならなくなります。

つまり、音が団子状態、空間が狭い、低音が効いていない、薄くノイズが乗っているといった曲は、何の補正もせず、そのままの音が出てきます。

逆に録音状態の良い曲は、良い部分がくっきりと描き出されるので、良い部分がより良く聴こえます。

別記事でも書いていますが、AKB48、乃木坂46、欅坂46等の音が団子気味になっている曲や音圧の低いオールドロック等を中心に聴く方は、音を元気に鳴らしてくれるSONY XBA-A2のようなイヤホンが向いていると思います。

★XBA-A2のレビュー記事はこちら

このように、HEM1はどんなジャンルに向いているイヤホンというより、比較的録音状態の良い曲を聴く方に向いているイヤホンだと思います。

HEM1はボーカルが比較的前に出て、サシスセソといった刺さりは全くなく、艶やかに聴かせてくれるので、ボーカルを中心に聴く方にも向いていると思います。

ハードロックやEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)は、キレを重視する方に向いていると思います。

まとめ

常に低音が効いている方が良い、又は常に空間は広い方が良いといったDSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)的な効果を求めている方には、Nuforce HEM1は向いていないかもしれませんが、録音状態の良い曲を同価格帯のダイナミック型イヤホンと聴き比べた場合、リアルな音を奏でるHEM1に大きな部があると思います。

音圧で楽しみたい場合はSE215speのようなダイナミック型、しっかりとした芯を持った生々しい音を聴きたい時はHEM1といった具合に、同価格帯のダイナミック型を持っていても十分すぎるぐらいの使い分けをすることが出来ます。

高価格帯のマルチBAをお持ちの方も、シングルBAであるHEM1のすっきりとして解像度の非常に高い音には、マルチBAでは感じることのできない気持ち良さがあるため、使い分けが十分可能です。

装着感の良さ、ケーブルが頑丈でリケーブルが可能、3種類のカラーバリエーション、ハイレゾ対応で音抜けの良いリアルな音を奏でる優秀なシングルBAドライバー、価格が1万円ちょいといったことから、Nuforce HEM1は非常におすすめなイヤホンです。

BAの音はダイナミック型とはどう違うのか、BAイヤホンの良さとは何なのかを知るには、マルチBAよりも、この質の良いシングルBAを積んだHEM1が一番分かりやすい機種だと思います。

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